あなたを救ってもいいですか?-『メアリーキルズピープル(仮)』俳優イ・ミンギ、イ・ボヨン、カン・ギヨン
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韓国の映画雑誌『CINE21』にミンギさんのインタビューが掲載されていましたので皆さんにご紹介します。
<スタッフ翻訳文>
あなたを救ってもいいですか?-『メアリーキルズピープル(仮)』俳優イ・ミンギ、イ・ボヨン、カン・ギヨン
3名以上の医師から治療不可能な病と診断され、回復の見込みがない身体的損傷に苦しみ、いかなる薬物でも痛みがコントロールできない患者。救急医学科医のソジョン(イ・ボヨン)は、この条件をすべて満たした患者が自ら人生を終えることを、同僚医師のデヒョン(カン・ギヨン)と共に手助けしている。しかし、一日も早く苦痛から解放されたいと願う末期患者ヒョヌ(イ・ミンギ)の頼みに対しては、なかなか決断を下すことができない。MBCドラマ『メアリーキルズピープル(仮)』は、「どのように死ぬか」という問いを投げかけながら、「どのように生きたいか」を問い直す。2018年の延命医療決定法施行後、韓国では約300万人が事前延命医療意思確認書を作成した。人間の尊厳と患者の自己決定権についての議論が活発に交わされている今、この作品は時宜を得たテーマを投げかける。真剣な内容の中に、シットコムのような意外な展開が隠されているのではないだろうか。8月1日の初回放送を前に、『CINE21』のスタジオを訪れた俳優のイ・ミンギ、イ・ボヨン、カン・ギヨンは、写真撮影中ずっとお互いを笑わせ、和やかな雰囲気を作り出していた。撮影後に行われたインタビューでは、彼らが解釈する作品のメッセージが慎重に語られた。残りの人生をどう生きるかについても深く考えるようになったという3人の俳優の率直な話を伝える。
苦痛の心理学 『メアリーキルズピープル(仮)』俳優イ・ミンギ インタビュー
脳腫瘍で余命宣告を受けたヒョヌ(イ・ミンギ)は、自らの意思で「安楽死」を望む。彼は生と死、治療と苦痛の境界を揺るがしながら、「安楽死」という馴染みのないテーマへと視聴者を誘う。イ・ミンギは決して容易ではないこの役に対し、「台本に忠実に臨む」誠実な姿勢で人物像を作り上げていく。
彼が初めて長編ドラマ『がんばれ!クムスン』に出演してから、気づけば20年が経った。『恋愛の温度』では短気なドンヒ、『私の解放日誌』ではどこか切ないチャンヒなど、印象的な演技を見せてきたが、彼にとって演技は今もなお「上手くなりたい」ものだという。
インタビューでは飾らずに答え、正確に伝えるために言葉を選んで話す姿があった。その率直さと真摯さが、信頼できる俳優・イ・ミンギの姿を物語っている。
―『メアリーキルズピープル』に合流したきっかけは?
前作(『クラッシュ 交通犯罪捜査チーム』)を共にしたパク・ジュヌ監督から提案を受けました。台本をもらう前から安楽死に関する作品に関心がありました。今この時代で考えてみる価値がある素材だと思います。
―韓国内で安楽死はまだ馴染みがないが、参考にした資料はあるか?
関連するドキュメンタリーや原作ドラマを参考にしました。また監督がオススメしてくれた『今日が明日だったらいいな(原題)』などの本を読みながら、患者や家族の立場への理解を深めました。
―初めて台本をもらった時の印象は?
原作ドラマを観た後に台本をもらいましたが、もっと良い作品を作れると思いました。
原作はドライさが魅力的で、事件を中心に流れていくスリラーでしたが、安楽死を選択する人物の感情をより深く扱えば、より意味のある作品になると考えました。
―ヒョヌは余命宣告を受けた患者であり、秘密を抱えたミステリアスな人物だが、どうやって感情の表現を追求したか?
たくさん悩みましたが、台本に忠実であろうと決めました。人物の設定を深く考えると難しくなる部分がりました。体型などあれこれ試してみるか悩みもしましたが、それもまた無理が出てしまうような気もしました。
―ヒョヌを演じるにあたって、参考にした資料があったか?
特に参考映像などはありませんでしたが、相談に乗ってくださる先生がいて、ヒョヌのような患者さんが痛みをどのように感じ、どう表現するのかについて質問し、フィードバックをもらって参考にしました。あえて映像を探さなかったのは何というか、少し違ってもいいと思ったからです。他の人と違っても、少なくともヒョヌにとってはそれが正しい表現になるはずだから。
―今まで演じた人物とヒョヌの異なる部分があるとしたら?
『今日が明日だったらいいな(原題)』で例を挙げると、安楽死を扱った話だと知らずに本の題名だけ見ると美しい話のように感じますが、実は苦痛を終わらせることに対する苦しい話です。ヒョヌもやはり安楽死を望む立場であり、おそらくそれ相応の痛みを感じているんじゃないかと思います。このようなことを考えることができたのは今までと違う経験でした。
―『メアリーキルズピープル(仮)』は生と死に関する作品である。このテーマについて考えさせられた部分はあったか?
安楽死というテーマは慎重に扱うべきテーマですが、実際に行われている国はあります。この問題は正解があるわけでも、善悪があるわけでもない。ある程度は選択の余地がある状態で、機会があるべきではないかと思います。
―最近出演した作品『クラッシュ 交通犯罪捜査チーム』、『FACE ME』、『メアリーキルズピープル(仮)』までジャンル色の強い作品に挑戦されていますね。
そういう年齢になってきたんだと思います。タイミングが合って、今の自分にできる作品と出会い、ひとつの時期を共に過ごしている感覚。これまで演じてきた役たちが積み重なって、次の作品へとつながっていくのですが、新しいジャンルや役柄に出会うとやはり嬉しいですね。少し居心地が悪かったり、難しいと感じると、より一層努力するようになりますし。だから今の時期が、とてもいいなと思っています。
―『がんばれ!クムスン』で長編ドラマに挑戦して20年が経った。当時と今を比較すると?
大きくは変わりませんが、多くの経験を積みました。良くもあり、少し惜しく感じる部分でもありますね。当時は何をしても初めてですから、自分の初めてを引き出して使える貴重な機会でした。もちろん未熟でしたが、その未熟さを埋めようと努力できました。もう20年も経ったんですね。
―その間維持してきた演技に対する価値観があるか気になります。
演技観は常に変わっていきます。だからこそ、演技に「正解」はないんだなと思うようになりました。昔はずっと正解を追い求めていたけれど、今は正解なんてないと感じています。それでも、やっぱりうまくなりたいという気持ちは変わりません。ずっと、もっと良い演技がしたいという欲があります。
キャリアを積んでくると、自分も周りも「これだけやってきたんだから、これくらいはできるでしょ」という期待値が生まれます。それがあることで、良い意味では成長のきっかけになるけれど、悪く捉えると足かせにもなり得るんです。
―『恋愛の温度』や『私の解放日誌』など、これまで多くの作品で高い評価を受けてきましたが、それでも「演技をうまくなりたい」という気持ちが強いのですね。
そうですね。というのも、自分では「ムラのある俳優」だと思っていて、うまくできないときは本当にできていないと感じるんです。毎回うまくいくわけじゃないからこそ、「もっと上手くなりたい」という気持ちが続いているんだと思います。
―そういった期待や雑念とうまく付き合いながら演技を続けるコツのようなものはありますか?
特にはないと思います。でも、以前ある監督が「俳優は“うまく休む”ことが大切だ」とおっしゃっていて。当時は「よく休め」という意味にしか聞こえなかったけれど、年々その言葉が少しずつ違って響くようになってきました。
ある時は休みながらも何かを生み出そうと努力してみたり、ある時は好奇心に導かれるまま自分を新しい場所へ連れて行ってみたり。いまだにいろいろ試している最中です。最近は特に「ちゃんと眠ること」を大切にしています。体力が感情につながり、コンディションにも直結すると思っていて、寝不足だと全てのエネルギーを使いきれないのがもったいなくて。
―今後、挑戦してみたいジャンルや役柄はありますか?
今のところ特別に「これをやりたい」というのはないです。でも、何か新しいものに出会えたら、それだけで幸せに取り組める気がします。俳優として自分の力を発揮できる作品であれば、前向きな気持ちで臨みたいですね。
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